ピアノ+作曲ユニット「クラヴィアーレア」は、2002 年4 月に葉山芸術祭で第1 回公演を開催し、以降、東京を中心に、現代ピアノ音楽の可能性を探究してきました。
今年はピアニスト中村和枝がトイピアノ(子供用の玩具のピアノ)をたずさえて、15 年ぶりに葉山に戻ってきます。
本公演「大人たちの本気の遊び in 葉山」は、昨年8 月に東京オペラシティ・近江楽堂で開催した、トイピアノのみのコンサート「claviarea 14 コンテンポラリー・トイピアニズム ~大人たちの本気の遊び」の姉妹公演となります。近江楽堂で演奏した曲を中心に新たなプログラムを組み、6台のトイピアノを使い分け、様々な音色が楽しめるよう工夫されます。
トイピアノ自体はそれほど珍しいものではありません。しかしそれが在る光景は、通常音楽を聴く場所にはなく、本来は楽器というより「玩具」の領域にあるものです。しかしトイピアノはまた、古くは1948年にジョン・ケージが舞台音楽に用いてその歴史を切り開いたように、近代楽器と捉えることもできます。
一方、フランク・ロイド・ライトに学んだ日本の建築家、遠藤新(1889〜1951)が設計した近代建築の文化遺産「旧加地邸」は、ライトの影響を強く受けた意匠を持つ貴重な住宅遺産です。建物のみならず、居住空間内の家具や照明器具なども含めた統合的な設計思想は、ライトの建築哲学を引き継いだものです。
楽器であり玩具であり、そして私的な空間を彩るインテリア的な実用オブジェとしても機能するトイピアノと、近代の貴重な文化遺産である「旧加地邸」の邂逅−−−音楽と場所の関係を模索してきた「クラヴィアーレア」は、ここで現代の作品を演奏します。タイトルの「大人たちの本気の遊び」は、現代の作曲家たちがトイピアノの魅力を再発見し、玩具の楽器を立派な楽器として捉えた結果としての「作品」を並べます。建物も楽器も現代に引き継ぎ、昇華する、そんなステージを作ります。
「音の建築」とも呼ばれる音楽の響きを、貴重な近代建築の空間でお楽しみください。
■プログラム
松平頼暁 ABZ~複数のトイピアノとヴォイスのための
平石博一 アップ・トゥ・デイト
近藤譲 カッチャ
山本裕之 ヘミオラ・スリップ
成本理香 ラインズ
山口恭子 砂糖の雨
近藤浩平 坊さんの気晴らし
S.モンテギュー ミラベラ
W.A.モーツァルト トルコ行進曲
※演奏順未定、プログラムは予告なく変更する場合があります。