claviarea 9 コンテンポラリー・ピアニズム/素晴らしき個人様式の世界

claviarea 9 コンテンポラリー・ピアニズム/素晴らしき個人様式の世界

かつて音楽にはその時代と文化を反映した「様式(スタイル)」が存在しました。様式の持つアイデンティティが意識されたのは、おそらく産業革命の影響で交通網が発達し、万博によって未知の文化を一堂に眺めることが可能になった百数十年前からではないでしょうか。同時代にあっても異なる様式の音楽があることを人々は知ることになりました。時代は下って、「様式」はエリアのレベルから「個」のレベルにまで強く認識されるようになります。
一晩のリサイタルであらゆる個人様式を網羅するのは不可能ですが、異なる様式のものを集めることは可能です。前衛の時代に未聴のものとは何かを追った湯浅作品、その後独自の調性と無調の融合を試みたカスティリオーニも同世代。40 歳代前半に日本を生きる田中と山本は、ともに「聴く」ということを重要視しながら微細な音を追い求める方法はまったく異なります。同じ世代のドイツでフェルドマン研究から独自の書法に至ったクラーレン作品を日本で耳に出来る機会はまだ僅かです。そして中村がCD をリリースしたばかりの松平頼暁の、人間の手の限界に挑戦した作品。さまざまな模様が混交したパッチワークのような一夜をご堪能ください。

●インフォメーション

■演奏:中村和枝(ピアノ)
■企画:山本裕之(作曲家)
■場所:杉並公会堂・小ホール/杉並区上荻1-23-15

■日時:2011年3月28日(月) 開演19:15(開場18:45)
■入場料:一般\3,000円・学生2,000 円、一般前売2,500円、学生前売1,500円(全自由席)

■プログラム:
湯浅譲二/内触覚的宇宙(1957)
ニコロ・カスティリオーニ/甘い慰め(1984)
山本裕之/ガラスの中で(2010/ 初演)
松平頼暁/「24 のエッセーズ」(2000-2009)より
田中吉史/air varié (2004)
セバスチャン・クラーレン/セックス(1995-96/日本初演)

※未就学児のご入場はご遠慮ください。